処方箋なしで医療用医薬品を買える?ー零売薬局が少ないことについて思うこと


非処方箋薬がほしいという患者さんが来られました
具体的には、カリーユニ点眼とサンコバ点眼です。
実はこの薬、処方箋がなくても販売できる非処方箋薬に該当します。
でも、会社的には販売はできそうにありません。
困っている様子だったので、心苦しく思いましたが、お断りしました。
多くの薬局でこれが現実だと思います。
こういう方に医療用医薬品を販売する薬局があってもいいのではないかと思います。


零売とはWikipediaでは以下の説明になっています。

零売(れいばい)とは、医療用医薬品を処方箋なしに、容器から取り出して顧客の必要量だけ販売することをいう。分割販売と呼ぶこともある。処方箋医薬品は、原則として零売することはできない。


上述のように、ふつう処方箋を出して受け取る薬の中には、実は処方箋なしで受け取れる薬があります。
医療用医薬品の中には、処方箋せん医薬品がありますが、だいたい全体の半分くらいでしょう。
その他が、処方箋せん医薬品ではない医療用医薬品ということになります。
法律的には、処方箋せんなしで販売できます。
このことを零売といいます。
ただし、薬歴の記録などの縛りがあります。


実際に零売を行っている薬局はあまりない

実際に患者さんに零売を行っている薬局はあまりありません。
私が以前に勤めていた薬局では、一部のビタミン剤を零売していました。
でも、それは稀なケースでしょう。

零売が行われない理由とは
まず、薬局としては処方箋を応需して調剤することで、調剤技術料を算定しています。
処方箋調剤の方が利益率が高いと言うことです。
また、零売を行えば病院の患者さんが減ることになり得ます。
経営的に、病院からの処方箋に処方箋に依存している薬局としては、患者さんを奪うことになりかねませんので、大々的に零売を行えないのが現状でしょう。

患者さんのメリット、デメリットは?

まず、手間が省けます。
病院で長時間の待ち時間を省くことができます。
いつもの薬だから、診察は省きたいという患者さんは多いと思います。
そして、大抵は費用が安く済みます。
保険が効かなくなりますが、病院での診察がないので、トータルでは安くなることがほとんどなはずです。
デメリットとして、医師の診察がないことでリスクがあることは確かです。
そこは、販売する薬剤師が症状や併用薬の確認を確実に行っていかなければなりません。
場合によっては、受診を勧めることになるでしょう。
でも、これは通常の薬局、ドラッグストアと変わりませんね。
また、万が一副作用が出たときに、副作用救済制度の対象にならない可能性があります。


今後広がる?

薬剤師としては、この分野に飛び込むには勇気がいるように感じます。
病院や薬局からの風当たりはどうなのでしょうか。
とはいえ、国の医療費削減に貢献することは間違いありません。
また、セルフメディケーションの担い手として薬剤師の存在意義が高まるともいえるでしょう。